亀裂が生じにくく伸びにくい材料で、頑丈な家づくり?

亀裂が生じにくく伸びにくい材料で、頑丈な家づくり? 生産技術研究所

 東京大学駒場リサーチキャンパス公開および東京大学柏キャンパス一般公開の来場者から寄せられた、研究者への願いと、研究者からのコメントを紹介します。


どんなに強い地震にも壊れない頑丈な家をつくってください!

 部材に力が加わると、弱い部分や力の集中する部分が破断してしまいます。もう少し細かく見ると、ある程度の力で亀裂ができて、それが伸びて部材を貫通すると破断に至るわけです。小さな部品でも住宅やビルの柱でも同じで、ほんの一本の亀裂でも大きく壊れてしまうこともあり得ます。では、亀裂ができる時や伸びる時にミクロレベルでは何が起きているのでしょうか。端的に言うと、亀裂の先端で物質を構成する原子の結合が切れるわけですが、その過程を見ることがなかなか難しく、よくわかっていないことが多いです。

 栃木 栄太 研究室では、ナノレベル~原子レベルの世界を見ることができる透過型電子顕微鏡という装置内で、試料に力を加えながら観察するという実験を行い、物質が変形したり破壊したりする際にミクロレベルでは何が起きているのかということを研究しています。最近では、原子の結合がどの程度伸びた時に切れてしまうかや、亀裂先端の原子構造といったことが少しずつ分かってきました。

 このような研究を通じて亀裂の形成や進展を抑える方法を検討することで、頑丈な部材の開発に役立てたいと考えています。

上級編記事≫ 原子の観察におけるブレークスルー –電子顕微鏡とマイクロデバイスを駆使し、結晶材料の破壊過程をリアルタイムで観察することに成功–

栃木 栄太 准教授

記事執筆:栃木 栄太 准教授

 毎年6月初旬には「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」が、10月下旬には「東京大学柏キャンパス一般公開」が実施されています。東京大学 生産技術研究所 広報室では、研究者たちが思い描く「もしかする未来」と、来場者が研究者にかなえてほしいと願う「もしかする未来」が交錯するオブジェを、展示してきました。この記事では、来場者から寄せられた願いに対しての、研究者からのコメントを紹介しています。
東京大学駒場リサーチキャンパス公開ウェブサイト
東京大学柏キャンパス一般公開ウェブサイト

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