東京大学駒場リサーチキャンパス公開および東京大学柏キャンパス一般公開の来場者から寄せられた、研究者への願いと、研究者からのコメントを紹介します。
充電が切れないスマホや、光合成する生地を作れますか?
小倉 賢 研究室では、二酸化炭素CO2、窒素酸化物NOxを回収し、水素によって還元することで、炭化水素やアンモニアといった資源に戻す元素循環型触媒化学反応の実現を目指して研究しています。
光合成は以下の反応が、「酵素」という天然の触媒によって進められています。
6 CO2 + 12 H2O → C6H12O6 + 6 O2 + 6 H2O
すなわち、CO2を消費して、酸素O2と糖C6H12O6(エネルギー源)を得ています。この反応を促進するために、酵素だけでなく様々な化学素反応が折り重なって、最終形としてこの反応式が成立しています。
ヒトの体の中にも代謝系反応が存在し、光合成とは逆の反応になりますが酸化還元反応により吸収した酸素をCO2とエネルギーに変換していることが知られています。
一方、現代の世の中では、CO2を排出しないエネルギー動力として、燃料電池が注目され期待されています。燃料電池システムに内在する化学反応は、水素と酸素を反応させ水を生成する反応です。この反応中に動く電子を電気回路を組んで外出しすることで、化学反応と同時に電気エネルギーを得ています。
生地に触媒機能を塗りこんで服を仕立ててもいいですが、体から電気が取り出せないでしょうか?そんな夢を見ています。
このように、我々の生活の多くは、酸化反応と還元反応がバランス良く成立することで、実現しています。これらを組み合わせると、何気ない生活スタイルの中で電気を取り出せるもの、または人工光合成が実現できる日が、近づいていると感じられます。

記事執筆:小倉 賢 教授
毎年6月初旬には「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」が、10月下旬には「東京大学柏キャンパス一般公開」が実施されています。東京大学 生産技術研究所 広報室では、研究者たちが思い描く「もしかする未来」と、来場者が研究者にかなえてほしいと願う「もしかする未来」が交錯するオブジェを、キャンパス公開で展示してきました。この記事では、来場者から寄せられた願いに対しての、研究者からのコメントを紹介しています。
本研究室は、東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025「生研ピックアップ企画」に選ばれました。
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