回折図形が映した “ありえない”固体


東京大学 生産技術研究所で進められている研究の奥深さを、1つの動詞を切り口に紹介します。


繰り返さない

物質の原子配列を表す結晶構造には、あるパターンを繰り返す「周期性」があり、そのパターンには「対称性」があります。例えば、立方体がみっちりと積み重なり、延々と続くように。では正五角形はどうでしょう。72度ずつ5回転すると元に戻る正五角形には、対称性があります。でも隙間なく並べることはできません。対称性はあれど、繰り返さない──つまり結晶の定義を破った“ありえない”物質、それが1984年に発見された「準結晶」です。「このような巧妙な秩序を物質が形成することに驚く」と語るのは、黎明期から準結晶の研究をリードする枝川 圭一 教授です。枝川教授は、準結晶の特殊な構造自由度に関わる局所的な原子の運動を直接観察することに初めて成功。「人の後追いはしない」研究姿勢は、まさに準結晶のような独自性を放っています。

枝川 圭一 教授

記事執筆:堀川 晃菜(サイエンスライター・科学コミュニケーター)

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