火星の砂を使って、基地や住宅を建築?

月の模擬砂から製造した硬化体(左:月の模擬砂(ニチレキ株式会社から提供)、右:製造した硬化体) 提供:酒井 雄也 研究室 

 東京大学駒場リサーチキャンパス公開および東京大学柏キャンパス一般公開の来場者から寄せられた、研究者への「問い」と、研究者からの「コメント」を紹介します。


火星への移住はできますか?

 酒井 雄也 研究室では、砂同士をくっつけてコンクリートのような塊にする研究を進めています。砂にアルコールと触媒を加えて加熱すると、砂の化学結合の切断と再生が繰り返されて、砂同士をくっつけることができます。
 この方法ではケイ素が接着剤となるのですが、月や火星の砂にもケイ素が含まれているので、月や火星での基地建設にも利用できると考えています。特に月では、昼間は110℃程度の高温になるのですが、その温度を利用して製造することも可能です。
 現在、ケイ素を多く含む砂であれば、コンクリート並みの強度を持つ塊を作ることができますが、ケイ素の量が低くなると強度が出にくくなります。ケイ素の含有量にかかわらず、あらゆる砂からコンクリート並みの強度のものが作れるよう、改良を進めています。
 あとは、砂以外の材料であるアルコールと触媒の繰り返し利用が可能になれば、月面でも、火星でも、砂漠でも、現地の砂を使った建設が可能になります。

写真: 月の模擬砂から製造した硬化体(左:月の模擬砂(ニチレキ株式会社から提供)、右:製造した硬化体)
提供:酒井 雄也 研究室 
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酒井 雄也 准教授

記事執筆:酒井 雄也 准教授

 毎年6月初旬には「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」が、10月下旬には「東京大学柏キャンパス一般公開」が実施されています。東京大学 生産技術研究所 広報室では、研究者たちが思い描く「もしかする未来」と、来場者が研究者にかなえてほしいと願う「もしかする未来」が交錯するオブジェを、展示してきました。この記事では、来場者から寄せられた願いに対しての、研究者からのコメントを紹介しています。
東京大学駒場リサーチキャンパス公開ウェブサイト
東京大学柏キャンパス一般公開ウェブサイト

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