東京大学駒場リサーチキャンパス公開および東京大学柏キャンパス一般公開の来場者から寄せられた、研究者への願いと、研究者からのコメントを紹介します。


海水を燃料として動く移動手段を実現してほしい

小倉 賢 研究室では、二酸化炭素CO2、窒素酸化物NOxを回収し、水素によって還元することで、炭化水素やアンモニアといった資源に戻す元素循環型触媒化学反応の実現を目指して研究しています。
その他にも水素には、発電、熱供給、水素自動車など移動手段の動力といった、さまざまな利用方法があります。つまり、今後の社会において、水素はキーマテリアルであり重要な国家戦略資源となります。
金属資源だけでなく、食料問題も深刻な我が国日本。でも周りを見渡すと、太平洋、日本海,オホーツク海、東シナ海、大きな海に囲まれています。そこから得られる食糧的資源には限りがありますが、水は地球規模で循環する資源物質として豊富に存在しているではないですか!
水から水素と酸素を得る分解反応の促進には、電気分解や光触媒分解など、効率よく進められる代表的化学反応が知られています。その多くは電気化学的な化学反応促進のため、電極あるいは電極触媒がなくてはならないのです。一方、海水に大量に含まれる塩(塩化ナトリウム)はとても高濃度で、電気分解時に有毒ガスが発生したり、電極や貴金属触媒などを腐食させる負の効果があります。
このような被毒作用をもつ物質や、単純に表面を汚すゴミなど汚染物質が共存する海水からでも、水素が簡単に得られる反応の実現が待ち遠しい!この水素発生反応を淡々と進める触媒システムの開発が実現すれば、日本は海水という資源が豊富な国になれますね!

小倉 賢 教授

記事執筆:小倉 賢 教授

毎年6月初旬には「東京大学駒場リサーチキャンパス公開」が、10月下旬には「東京大学柏キャンパス一般公開」が実施されています。東京大学 生産技術研究所 広報室では、研究者たちが思い描く「もしかする未来」と、来場者が研究者にかなえてほしいと願う「もしかする未来」が交錯するオブジェを、キャンパス公開で展示してきました。この記事では、来場者から寄せられた願いに対しての、研究者からのコメントを紹介しています。

本研究室は、東京大学駒場リサーチキャンパス公開2025「生研ピックアップ企画」に選ばれました。

東京大学駒場リサーチキャンパス公開ウェブサイト
東京大学柏キャンパス一般公開ウェブサイト

みんなのコメント

コメントはまだありません。

投票&コメントで参加

この記事が描く「もしかする未来」をどのように感じましたか?あなたの期待度を投票してください!

投票いただきありがとうございます!この研究についての、あなたの意見をお聞かせください。いただいたコメントは、承認されると「みんなのコメント」に掲載されます。コメントが盛り上がれば、研究者本人が登場することも・・・?!

最大2000文字

コメントを残す

もっと詳しい研究内容を知りたい方、疑問や質問がある方は、研究室のウェブサイトをご覧ください。

前の記事 次の記事