東京大学 生産技術研究所で進められている研究の奥深さを、1つの動詞を切り口に紹介します。
うなる
大晦日に響く除夜の鐘。鐘を打つ音に続いて、複雑な音色が大きくなったり小さくなったりを繰り返し、やがて消えていきます。複数の音が重なって生まれる音の強弱、「うなり」がおごそかな響きの決め手です。
芦原 聡 教授は、光を巧みにうならせて、赤外光の長短パルスレーザーを開発しました。レーザーの心臓部となる特殊な結晶は、与えたエネルギーをため込み、一定値を超えるとさまざまな波長の赤外光を放ちます。鏡で反射させて光が何度も結晶を通過するように導くと、光の強さが増し、進む方向が揃ってきます。そして異なる波長がうまく重なった、10兆分の1秒ほどの瞬間、強烈な閃光として外に飛び出します。「うなり」で生まれた赤外長短パルスを使うと、特定の分子結合を狙って揺さぶることができるため、化学反応を制御する新たな決め手として注目されています。
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【紹介研究者】
芦原 聡(東京大学 生産技術研究所 教授)
専門分野:超高速光学
記事執筆:松山 桃世(東京大学 生産技術研究所 准教授)

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