水から手がかりを引き出す同位体解析装置

たどる UTokyo-IIS

東京大学 生産技術研究所で進められている研究の奥深さを、1つの動詞を切り口に紹介します。


たどる

 「ユーラシア大陸で文明が発達したのは、東西に長く、自然環境が一様で、社会が大規模化しやすかったため。南北にのびる他の大陸では、気候の違いが文化の伝播を阻んだのでは」。生物地理学者のジャレド・ダイアモンド氏が『銃・病原菌・鉄』で示した仮説です。

 芳村 圭 教授は、古代文明の興亡や王朝の変遷も気候に敏感に反応した結果と考え、数千年にわたる気候変動を「同位体気象学」でたどっています。かすかな手がかりから情報を引き出し、組み合わせ、事実に迫る研究は、まるで極上の推理小説。昔の大気成分を氷床などから採取し、わずかに重さの違う水素や酸素の同位体比を測り、現在の気象条件と同位体比の関係を参考に、当時の状況を推定します。最新のシミュレーションに組み込めば、気象予測にも使えます。過去へ、未来へ。同位体は時空をたどる道しるべなのです。

東大生研の教員による、15分程度の研究紹介プチトーク テーマ:「たどる」
芳村 圭 教授 UTokyo-IIS

芳村 圭 教授

記事執筆:松山 桃世 准教授

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