東京大学 生産技術研究所で進められている研究の奥深さを、1つの動詞を切り口に紹介します。
拡げる
振り子が揺れています。この映像が「再生」か「逆再生」か、どうすればわかるでしょう。振り幅が次第に狭くなれば「再生」。振り子のエネルギーが、空気の摩擦などで失われていくからです。ところが、物理の研究のほとんどは、注目する系がまわりと関わりがないと仮定します。エネルギーは保存され、振り子は揺れ続ける、時間の向きがない世界です。
羽田野 直道 教授は、まわりとエネルギーをやりとりする世界で起こる現象を、理論的に再現しています。テーマは、非平衡統計物理学、非エルミート量子力学、非可換ゲージ理論など「非」がズラリ。仮定から解き放たれることで、まるで二次元から三次元へ視野を拡げるように、複雑な現実世界の本質が見えてきます。
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羽田野 直道 教授
記事執筆:松山 桃世 准教授
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