東京大学 生産技術研究所に通う大学院学生が、日々の活動をとおして感じていること、考えていることを紹介します。
私の砂田 祐輔 研究室との出会いは、本学の学部2年生の頃のUROP(Undergraduate Research Oppotunity Program)でした。私は当時、砂田研究室にて、鉄ジシリル錯体*1を触媒として用いた還元反応の検証とその反応機構の追求をテーマに研究を行いました。そこでは砂田先生から直々に実験技術を教わることができ、また、大学院の先輩方から実験やデータ解析の取り組み方についても教わりました。UROPでの活動を通じて、触媒として働く鉄と、それを可能にするケイ素の機能に魅力を感じました。その後、本学工学部応用化学科に進学して別の研究室で鉄触媒の研究に携わった後、改めて院生として生研に戻ってきました。UROPで触れた研究室のスタンスや雰囲気が自分に合っていると感じたことが、大学院での進学先に砂田研究室を選んだ決め手であり、博士課程進学への決心を後押ししてくれた大きな要因でもありました。
生研がある駒場リサーチキャンパスは本郷や駒場Ⅰキャンパスとは雰囲気が大きく異なり、院生以上が主体で人口密度の低い、落ち着いた環境です。ここで現在、私は自ら設計した新規鉄錯体の合成および、それを活かした触媒反応の開発に取り組んでいます。これまでの研究により、鉄とケイ素を組み合わせることで特異な反応性を示すことが見え始めてきました。今後は、従来高価な貴金属を用いなければ達成することのできなかった価値ある反応を安価で豊富な鉄で代替すること、さらには従来、貴金属でも不可能であった反応を新しく生み出すことが目標です。UROPで出合った鉄の魅力を更に引き出すべく、今後も自由度の高い環境の中で存分に研究を楽しんでいきます。
*1 鉄原子に対して2つのケイ素原子(シリル基)が結合した化合物種のこと。
記事執筆:菅 雄翔
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻
東京大学 生産技術研究所 物質・環境系部門 砂田 祐輔 研究室
修士課程2年
東京大学 生産技術研究所の特徴のひとつとして、さまざまな専攻に所属する研究室が多彩な研究活動を行っており、また海外からの留学生等も多く国際色が豊かであることが挙げられます。
この記事は、大学院の進学先を探す理工学系の学生さんや、これから東大生研での活動を始める学生さんに、東大生研での活動・生活やキャリアパスを紹介する冊子「キャンパスライフ特集号」に掲載されたものです。
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