最少の手駒で場を制す


東京大学 生産技術研究所で進められている研究の奥深さを、1つの動詞を切り口に紹介します。


配する

 慶長5年、関ヶ原。徳川家康は腹心の武将たちを適所に配して、勝利を収めました。火蓋を切った福島正則、寝返って西軍の崩壊を招いた小早川秀秋など、肝になる武将の位置が戦を動かしました。

 砂田 祐輔 教授は、分子の適した場所に反応性の高い金属原子を配した「サブナノクラスター触媒」を合成しています。標的分子が反応場となる空間におさまると、金属原子が目の前の結合を繋ぎ変えます。分子の形と金属原子の数や配置を工夫すれば、最少の手駒(金属原子)で効率よく狙いどおりの反応を起こせます。原子1個では反応性は高いけれど機能が不十分、1,000個を超えると機能は良いけれど高価。そこで中間の原子10個ほどの「サブナノ」の世界で、いいとこどりの触媒を生み出しています。極小の布陣図を前に、日々采配を振っているのです。

東大生研の教員による、15分程度の研究紹介プチトーク テーマ:「配する」
砂田 祐輔 教授

砂田 祐輔 教授

記事執筆:松山 桃世 准教授

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その未来に期待

たつ

戦国時代の戦いの戦術と研究が結びついているのが面白いです。過去の事例からヒントを見つけ、新しい未来の発見につなげる。いろいろな事に応用もできそうで楽しみです

その未来に期待

あんず

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